**犬歯誘導咬合のメリット**
犬歯誘導咬合は、下顎を左右に動かしたときに犬歯が最初に接触するように調整された咬合です。この咬合により、臼歯への過剰な力を防ぎ、歯や顎関節を保護する役割があります。
1. **臼歯の保護**
犬歯が最初に接触することで、臼歯への過剰な側方力がかかるのを防ぎます。これにより、臼歯の損傷リスクが低減されます。
2. **顎筋のコントロール**
犬歯の歯根膜には自己受容器があり、顎筋の緊張をコントロールします。これにより、臼歯への過度の荷重が阻止されます。
3. **機能分担の向上**
犬歯が側方運動を誘導することで、切歯は切断、臼歯は粉砕という本来の機能を発揮できます。
**犬歯誘導がない場合のデメリット**
1. **臼歯の損傷リスク増加**
犬歯誘導がない場合、側方運動時に臼歯に過剰な力がかかります。顎の力を斜めに受け止めてしまうため、知覚過敏や虫歯、歯の割れ、グラつき、歯周病、顎関節症のリスクが高まります。歯は垂直方向の力には強く、側方からの力には弱いのです。
2. **歯の機能低下**
犬歯の誘導がないため、切歯や臼歯が本来の機能を発揮しづらくなります。
3. **早期磨耗と咬合平面の変形**
歯の早期磨耗や咬合平面の変形が生じやすくなります。
**まとめ**
犬歯誘導は、側方運動時の臼歯保護と各歯の機能分担を可能にし、健全な咀嚼機能を維持する上で重要な役割を果たしています。